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神経内科

パーキンソン病は、脳幹の中脳に存在する黒質の神経細胞が比較的選択的に障害されていく疾患です。この神経細胞は、自分の意思で運動を行う際の(これを随意運動と言います。)調節に関係しており、一般的な脳梗塞に見られるような力が出ない(筋力低下)という症状ではなく、一つ一つの動きがスムーズに開始できない、本来あるべきスピードで動かせない、体のバランスが悪くなるといった症状が出現することになります。

典型的には50歳以降に発症することが多く、年齢と共に有病率は増加することが知られています。多くの調査では、我が国でも10万人に150人前後と言われており、神経内科で扱う病気の中では、アルツハイマー病に次いで多い疾患です。9割以上の方は、孤発性といわれ、基本的には遺伝することはありません。但し、一部の方で(特に若年に発症する人の中に)、家族性に発症するタイプが存在します。

最初にパーキンソン病が報告されてから100年以上が経ちましたが、どうして黒質の神経細胞が少なくなっていくのかについては完全には解明されていません。しかし、少なくなった神経細胞の機能を補う治療法が比較的よく確立しており、症状の改善、すなわち生活改善が大いに期待できるようになっています。実際、初めて受診される患者さんの中には、年のせいだと諦めていたとぼとぼ歩きがよくなったと言われる方もおられます。
一方で、パーキンソン病によく似た症状を示す別の病気も複数存在します。それらの病気では、パーキンソン病とは治療法や薬の効果が異なっており、正確な診断と治療法の選択が重要です。

 

初めて気付く症状として、約半数が「ふるえ」、約30%が「歩行障害」、残りが「手指の不自由さ」が挙げられます。
これら以外にもパーキンソン病で認められる症状は多数あり、大きく①運動症状と②非運動症状とに分けられます。パーキンソン病の診断にも重要な運動症状は更に、振戦、固縮、動作緩慢・無動、姿勢反射障害の4つに分けられます。
次に、それぞれの特徴を説明します。

  • 振戦:典型的には、意識をせず安静にしているときに、規則正しく生じるふるえで。このふるえは、初期の頃は左右差があることが多く、手・足などで見られます。特に手指に見られるものは、「丸薬をを丸めるような」と表現され、動作によってこのふるえは軽減しますが、安静に保っていると再び生じてくるのが特徴です。
  • 固縮:自覚症状ではなく、自分で気付くものではありません。診察の際に医師が確認する症状です。脱力している筋肉を別の人が伸ばす時に感じる抵抗で、筋緊張の高まりを反映しています。
  • 動作緩慢・無動:文字通り、動作が遅くなったり、自分で動くことが減少したりすることを表します。「皆と歩いていて一人だけ遅れてしまう」、「ボタンをはめるのが遅くなる」、「歯磨きをする動作がゆっくりになった」、「お米を研ぐのがぎこちない」などの自覚症状として表れます。
  • 姿勢反射障害:正常では、立っている際には、前後左右にバランスをとり簡単には倒れないように保っていますが、この機能が障害されます。「立ってズボンがはけなくなる」、「高いところの物を取ろうとして後ろ向きに倒れる」、「椅子から立ち上がろうとしても何度も座り込んでしまいなかなか立ち上がれない」などの症状が現れます。症状が強い場合には、突進現象といって一旦動き出すと踏みとどまることが困難となりどんどん加速してしまい、「下り坂を歩くと、小走りになって転倒しそうになる」などの症状として気付かれます。

    パーキンソン病は、運動機能だけでなく自律神経症状を含め、非運動症状と呼ばれる様々な症状が見られます。
  • 自律神経症状:消化管の蠕動は自律神経によって調節されており、便秘は9割以上に認められる症状で、緩下剤の服用が必要になる場合が多く認めらます。発汗の異常、頻尿(特に夜間頻尿)、立ちくらみ(起立性的血圧と言います)も認められることがあり、治療を必要とする場合があります。
  • 睡眠障害:眠りにつきにくい、途中で何度も目が覚めると言った症状がでることがあります。これ以外にも、レム睡眠行動異常と呼ばれる、「眠っている最中に、夢の内容がそのまま声に出てしまう、手足の動きに出てしまう」という症状や、むずむず足症候群と呼ばれる、「安静にしていると足がむずむずして動かさずにはいられない」といった睡眠に関連した症状が合併することがあります。
  • 精神症状:気力の低下、気分の落ち込み、自発性の低下などの症状が出ることがあります。
    これらの症状は、一見パーキンソン病と無関係に見えるため、医師に伝えず一人悩まれている場合も有りますが、効果的な治療法がある症状も有りますので、主治医にご相談されることをお勧めいたします。

 

パーキンソン病には、例えば糖尿病のように血液検査などで診断できるような検査法は現在のところ確立されておりません。従って現在の診断は、上述しました①症状(診察所見)、②画像検査、③抗パーキンソン病薬の効果の有無、④他の疾患の除外 に基づいて行われています。
パーキンソン病に比較的特異的といわれる画像検査に、心筋MIBGシンチグラフィーがあります。この検査は、心臓における自律神経の障害を調べる検査で、約90%のパーキンソン病の患者さんで経過中陽性になるとされています。(写真参照)

心筋MIBGシンチグラフィ  
正常 パーキンソン病

パーキンソン病様症状を示す病気は、パーキンソン病以外にも多数有ります。比較的多いものに、服用されている薬による副作用があります。抗精神病薬、胃薬、むかつき止め、抗うつ薬の一部のものは、パーキンソン病に似た症状を生じることがあり、特に初めて受診される際にはお薬手帳を持って受診されることが重要です。それ以外にも、頭部MRI、脳血流検査、血液検査などが必要になる場合があります。特に、びまん性レビー小体型認知症は、病初期はパーキンソン病と診断されることが多く、その後の経過中に特徴的な所見、症状が出現してくるため、診断後も注意深く経過を見ていくことが必要です。

 

日本神経学会パーキンソン病治療ガイドライン(2011)に基づいて、患者さんの年齢、運動症状の程度、合併症により薬剤の種類が決められます。
基本的には、減少した神経細胞からのドーパミン量を増やすための薬剤が使用されます。現在日本で使用されている薬剤は下記の様に分類され、各々複数の薬剤があります。それぞれの薬剤には特徴があり副作用を軽減するためにも、決められた服薬パターンで規則正しく服用することが症状の安定に重要です。自己判断で、余分に服用したり、中断したりすることは重大な副作用につながることがあり、非常に危険です。症状の進行によっては、薬の切れ目(ウエアリングオフ)、動ける時・動けない時が周期的に出現(オン・オフ)するなどが生じてきますので、症状の変化を記録し主治医と相談の上、薬剤を調整していくことが重要です。最近は、体内の薬物濃度をなるべく一定に保ち副作用の軽減を目指した1日1回の持続型薬剤や皮下注射・貼り薬タイプといった服薬しづらいオフの際にも利用しやすい薬剤も使用可能となっており、患者さんによっては良い効果が期待できます。

L-ドーパ :体内で変換されてドパミンになる。
ドパミン受容体作動薬 :ドパミン様の作用を持つ。
MAOB阻害薬 :ドパミンの代謝を抑制し効果を持続させる
COMT阻害薬 :ドパミンの代謝を抑制し効果を持続させる
抗コリン薬 :ドパミン減少によるアセチルコリンのバランスを取る。
グルタミン酸受容体遮断薬 :ドパミンの放出を促す。
抗てんかん薬 :ドパミン量増加、MAO・COMT阻害作用など
ノルアドレナリン前駆体  :減少しているノルアドレナリンを補う。
アデノシンA2A受容体拮抗薬  :ドパミンを介さない調節薬

パーキンソン病様症状を示す病気は、パーキンソン病以外にも多数有ります。比較的多いものに、服用されている薬による副作用があります。抗精神病薬、胃薬、むかつき止め、抗うつ薬の一部のものは、パーキンソン病に似た症状を生じることがあり、特に初めて受診される際にはお薬手帳を持って受診されることが重要です。それ以外にも、頭部MRI、脳血流検査、血液検査などが必要になる場合があります。特に、びまん性レビー小体型認知症は、病初期はパーキンソン病と診断されることが多く、その後の経過中に特徴的な所見、症状が出現してくるため、診断後も注意深く経過を見ていくことが必要です。


1.規則正しい服薬
2.脱水に注意:自律神経症状として便秘が多いことに加え、消化器機能の低下は抗パーキン
  ソン病薬の吸収低下を助長します。また運動症状の悪化につながります。

3.積極的なリハビリテーション:姿勢反射障害による転倒には注意しなければい
  けませんが、転倒を恐れるあまり使わない事による筋力低下は、運動症状の悪化につなが
  り更に動けなくなるという悪循環となってしまいます。
  嚥下障害がある方は、嚥下リハビリも積極的に行うことが機能維持に重要です


パーキンソン病は、外来通院で殆ど症状がコントロール可能な方から、自力歩行不能で全介助となる方まで様々な病態を生じます。時には、無動が嚥下機能に生じることにより、胃瘻という栄養摂取補助処置が必要になる場合もあります。
当科では、パーキンソン病の全ての重症度の病態に対応し、生活改善のための薬剤調節、処置を行っております。また、パーキンソン病に対する新規薬剤を積極的に導入しており、様々な症状に対応出来るように努めております。新薬の開発に欠かせない治験参加にも積極的に取り組んでおり、ご希望の方で条件が合う場合にはご参加いただいております(治験は行われていない時期もあります)
また、当院は神経難病専門病棟をもち、パーキンソン病を熟知したスタッフによるケアを提供しております。加えて、入院及び外来患者さんを対象に、理学療法士、作業療法士、言語療法士による個々のパーキンソン病症状に対応したリハビリテーションを行っております。


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